【税理士が解説】サザン関口氏の5.8億円申告漏れから学ぶ「過度な節税スキーム」と「行為計算の否認」の落とし穴

サザンオールスターズのベーシスト・関口和之氏が代表を務める音楽関連会社が、東京国税局から3年間で約5億8,650万円の申告漏れを指摘されていたことが報道されました。追徴税額は過少申告加算税を含めて約5,300万円に上ります。

報道によると、関口氏側は顧問税理士から「適法な節税策」と説明を受けて取引を行っていたとのことです。なぜ、専門家の助言に基づいたスキームであったにもかかわらず、巨額の追徴課税を受ける事態となってしまったのでしょうか?

本記事では、大阪のリフト会計事務所が、実際の税務調査現場や実務相談で培った知見(経験)をもとに、今回の申告漏れスキームの構造と、国税当局が否認に踏み切った本当の理由、そして経営者が知っておくべきリスク回避策を徹底解説します。

1. 今回指摘された「申告漏れスキーム」の概要

報道内容を整理すると、今回の事案では以下のようなスキームが組まれていました。

  1. 同族間での株取引:関口氏の会社が、関連会社や同族関係者から特定の株式を取得。
  2. 損失(譲渡損・評価損等)の計上:取得額と著しく乖離した価格での取引や意図的な損失の発生により、約5億8,650万円の損失を計上。
  3. 所得圧縮と繰越欠損金の利用:計上した巨額の損失により法人所得を圧縮。さらに翌期以降の納税額を引き下げる目的で利用されていたとされています。

形式上は「株式の売買による損失」として処理されていましたが、税務当局(東京国税局)はこれを認めませんでした。

2. なぜ否認されたのか?国税当局が見る「2つのポイント」

法的な手続きや形式を整えていたにもかかわらず税務調査で指摘を受けた理由は、税法特有の考え方にあります。

(1)「経済合理性」の欠如

通常、独立した第三者同士の取引であれば「損をしてまで株式を売却する」「不自然な高値で買い取る」といった取引は行われません。税務当局は、今回の取引に「不自然な損失作り」以外の合理的な事業上の目的(経済合理性)が認められないと判断したと見られます。

(2)同族会社の「行為計算の否認」(法人税法132条)

同族会社の場合、たとえ法律上の形式(契約書や売買手続き)が整っていても、「租税の負担を不当に減少させる結果となる取引」については、税務署長の裁量でその行為や計算を取り消し、通常の取引があったものとして課税し直すことができるという強力な規定が存在します。

3. 【税務現場のリアル】税理士の立場から見る「節税案の罠」と「責任」

当事務所でも、他の税理士事務所から移籍されてきた経営者様や、セカンドオピニオンのご相談をお受けする中で、「税理士から『大丈夫な節税対策です』と言われていたのに、税務調査で指摘された」というケースを実際に目の当たりにしてきました。

実務現場で見てきた「危険な節税スキーム」の共通点

私たちが実際の税務調査対応やセカンドオピニオン調査を行う中で感じるのは、否認されるスキームには明確な共通パターンがあるということです。

  • 「税金対策」のためだけに作成された不自然な契約書・議事録がある
  • 資金がグルグルとグループ内を巡回しているだけで、実質の経済的リスクを誰も負っていない
  • 実務(事業実態)が伴っておらず、書類上の操作のみで完結している

税務署の調査官は、数多くの同族会社や節税事例を分析してきた「プロの調査集団」です。単に契約書が揃っているかだけでなく、「銀行口座の資金の動き」「メールややり取りの履歴」「経営者の真の意図」まで徹底的に調査します。「書類の形式さえ整えればバレない」という考えは、実際の税務調査の現場では一切通用しません。

「税理士任せ」でもペナルティを払うのは社長自身

関口氏側も「税理士の指導通りに行っていた」と説明していますが、国税通則法上、税理士の過失や誤った指導であっても、納税義務と追徴課税(加算税・延滞税)の負担は100%納税者(会社・経営者)に帰属します。

後から税理士に対して損害賠償を請求することは法律上可能ですが、裁判の手間やコスト、そして何より「税務署から申告漏れを指摘された」という企業の社会的信用の失墜は取り戻せません。

4. リフト会計事務所が実務で実践している「安全な税金対策」3つの原則

当事務所が日々経営者の皆様と向き合う中で、過度な税務リスクを冒さずに手元資金を残すために徹底している「実務基準」をご紹介します。

  1. 「事業上のストーリー(経済合理的理由)」が説明できるか 「なぜこの時期に、この価格で、この相手と取引したのか」を第三者(税務署)に納得感をもって説明できるストーリーがあるかを必ず検証します。
  2. 同族間取引は「客観的エビデンス(評価額算定書)」を残す 同族間での株や不動産の売買では、税務上の時価算出根拠となる「株価評価書」や専門家の算定エビデンスを取引前に作成・保管しておくことが大切になってきます。
  3. セカンドオピニオンの活用 グレーゾーンと思われるスキームについては、事前照会制度(国税庁への確認)の利用や、セカンドオピニオンとして別の税理士の目を入れる判断を促しています。

まとめ:税務調査に強い「健全な経営」を目指して

節税は事業の手元資金を残すために大切な要素ですが、数年後に否認されて過少申告加算税や延滞税を請求されてしまっては本末転倒です。

大阪市で多数のオーナー企業様を支援してきたリフト会計事務所では、単なる書類上の節税スキームではなく、「実際の税務調査で追及されても理論的に反論できる、事業実態に基づいた税対策」をご提案しております。

  • 「現在提案されている節税対策が、税務調査で耐えられるか不安がある」
  • 「過去に行った同族間取引や株の移動について、セカンドオピニオンを聞きたい」

とお悩みの経営者様・オーナー様は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

【参考・参照Webサイト】

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