「黒字なのにキャッシュがない…」を解消する!かんたん試算表の読み方と資金繰り改善チェックリスト
「損益計算書上は利益が出ているのに、なぜか口座の預金残高が増えない…」
「それどころか、月末の支払いや給料の振り込みに毎回ヒヤヒヤしている…」
このようなこのようなお悩みを抱えている中小企業経営者の方は、決して少なくありません。
実際、弊所にご相談に来られるお客様の中にも、「決算書では利益が出ているのに、手元にお金が全然残らない…」とおっしゃる方が数多くいらっしゃいます。
この「黒字なのに現金がない」状態に陥る場合、これから解説するいくつかの明確な原因に当てはまっていることがほとんどです。そのため弊所では、まずはその「原因」を正しく把握していただくことから資金繰りのご相談をスタートしています。
会社を倒産させないために必要なのは、売上を増やすこと以上に「正しい試算表の読み方」を知り、「手元のキャッシュの流れ」を把握することです。本記事では、決算書や試算表に苦手意識がある経営者様に向けて、試算表で見るべきポイントと、今すぐ実践できる資金繰り改善チェックリストを税理士の視点からわかりやすく解説します。
1. なぜ「黒字なのにキャッシュがない」現象が起きるのか?
損益計算書(P/L)の「利益」と、手元の「キャッシュ(現金・預金)」は一致しません。その主な理由は以下の4点です。
① 売上と回収のタイムラグ(売掛金の未回収)
売上は「請求書を発行したタイミング」で計上されますが、実際に現金が入金されるのは1ヶ月〜3ヶ月後になります。売上が急増する局面ほど、先に仕入や人件費の支払いが先行するため、キャッシュ不足に陥りやすくなります。
② 元本返済は「経費(損金)」にならない
銀行からの借入金の返済のうち、「利息」は経費になりますが、「元本の返済」は経費になりません。つまり、利益が出たとしても、その利益以上の金額を借入返済に充てている場合、帳簿上は黒字でも手元の現金はどんどん減っていきます。
③ 在庫(棚卸資産)にお金が眠っている
仕入れた商品は、売れない限り経費(売上原価)になりません。過剰な在庫や不良在庫を抱えていると、損益計算書上の利益は出ているのに、現金が在庫という形に変形して固まってしまいます。
④ 税金・社会保険料のタイムラグ支払い
法人税や消費税、決算賞与や社会保険料などは、利益が出た後からまとめて支払いがやってきます。利益が出ているからと使ってしまうと、税金等の支払い時にキャッシュが底をつく原因となります。
2. 試算表で見るべきは「P/L」より「B/S」!たった3つのチェックポイント
経営者の多くは損益計算書(P/L)の「売上」と「営業利益」ばかりに目が行きがちです。しかし、資金繰りの異常をいち早く察知するために見るべきは貸借対照表(B/S)です。
試算表(B/S)が届いたら、まずは以下の3つの数値をチェックしましょう。
| チェック項目 | 確認する勘定科目 | 見るべきポイント・基準 |
|---|---|---|
| 1. 売掛金と買掛金のバランス | 売掛金・受取手形 / 買掛金・支払手形 | 「売掛金 > 買掛金」の状態が大きすぎないか。売掛金の回収サイトが長すぎないかを確認する。 |
| 2. 在庫の膨らみ | 商品・製品・原材料・仕掛品 | 売上規模に対して在庫が急増していないか。数ヶ月動いていない「滞留在庫」がないかチェックする。 |
| 3. 借入金返済能力 | 短期・長期借入金 / 減価償却費・当期純利益 | 【年間元本返済額】が【当期純利益 + 減価償却費(簡易キャッシュフロー)】の範囲内に収まっているか。 |
★ 経営者が覚えるべき鉄則方程式:
【毎月使える本当のキャッシュ】= 当期純利益(税引後) + 減価償却費 - 借入金の元本返済額
この計算結果がマイナスになっている場合、売上を増やすか、返済条件を見直さなければ手元資金は減り続けます。
3. 資金繰り改善チェックリスト(今すぐできる10選)
手元の資金繰りを安定・改善するために、自社でできている項目をチェックしてみましょう。
【回収・売上編】
- 回収サイトの短縮交渉: 取引先に対し、締め日や支払日の短縮(例:翌々月末払い→翌月末払い)を交渉しているか。
- 売掛金の回収漏れチェック: 毎月、入金期日を過ぎている売掛金がないか一覧で確認しているか。
- 着手金・中間金の受領: 案件の期間が長い場合、分割請求や着手金をもらう仕組みにしているか。
【支払い・コスト編】
- 支払サイトの延長交渉: 仕入先に対し、支払期日を延ばせないか相談しているか。
- 無駄な固定費の見直し: 使っていないサブスクリプション、過剰な設備、不要な保険等がないか年1回見直しているか。
- 滞留在庫・固定資産の現金化: 長期保管している不要な在庫や未稼働の設備を売却処分しているか。
【財務・資金調達編】
- 月次資金繰り表の作成: 過去の実績だけでなく、今後3〜6ヶ月先の入出金予定を可視化した資金繰り表を作っているか。
- リスケジュール・借換の検討: 返済が厳しい場合、銀行へ返済猶予(リスケ)や低金利ローンへの乗り換え・借換を相談しているか。
- 納税猶予・分納制度の活用: 税金や社会保険料の支払いが厳しい場合、事前に管轄の税務署や年金事務所へ相談しているか。
- 公的融資・補助金の活用: 資金が底をつく前(手元資金が月商の1〜2ヶ月分を切る前)に追加融資の動向を進めているか。
4. まとめ:数字が見えれば「資金繰りの恐怖」は消える
「黒字なのにキャッシュがない」という状態は、適切な現状把握と対策を行えば必ず改善できます。そのためには、月に一度届く試算表を「過去の成績表」として放置するのではなく、「未来の資金予測ツール」として活用することが第一歩です。
リフト会計事務所では、単なる決算・申告業務にとどまらず、クラウド会計を活用したリアルタイムな数字の見える化や、資金繰り改善・資金調達のアドバイスを行っております。
「試算表の見方が合っているか不安」「資金繰り表の作り方を教えてほしい」「銀行対応を含めてセカンドオピニオンを聞きたい」という経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
